【ととけん】2023年4月問題
Q1. 春告魚というと、北海道のニシン、瀬戸内のサワラ、そして全国的にはメバルが知られています。愛知県の伊勢湾や三河湾に春の訪れを告げる魚介を選びなさい。
[2022年(第13回)3級(初級)から]
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【解答】③コウナゴ
【解説】愛知県の春のプライドフィッシュにも選定されているコウナゴ(小女子)は、多彩な味覚で春を告げる風物詩として、地元に愛されるイカナゴ(標準和名)のこと。本名イカナゴは「如何子」の字が当てられ、“いかなる魚の子か”という意味の由来をもつ。沖縄をのぞく日本各地に生息するイカナゴは、全国でさまざまな名で呼ばれ、食卓にならぶ。東北ではメロウド(女郎人)、大阪ではカマスゴ、北海道ではオオナゴ、九州ではカナギ、ほかにもコオナゴカマス、シンコ、コナ、フルセ、フルコなど。愛知では体長3~5㌢のシラス期に漁獲し、釜揚げや佃煮、シラス干しでいただく。イワシの稚魚である「しらす」や「ちりめんじゃこ」に似ているが、シラスよりも脂分が多く独特の味わいがあるという。
伊勢湾のコウナゴ漁は、資源量が減少してきたことから愛知県と三重県の漁業者が協議し、平成28年より5年連続で禁漁を続けている。
Q2. 平たい形なら「1枚」、つぼ型のものなら「1個」と数えます。むき身にすると「ひと粒」、刺身にするような肉厚で水分の多いものは、「玉」で数える魚介を選びなさい。[2022年(第13回)2級(中級)から]
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【解答】③貝
【解説】数え方は単なる雑学や知識ではなく、日本語の繊細さや多彩さを伝える機能的な表現のひとつ。助数詞は種類が多く、使いこなすのも大変でめんどうだと感じることもあるかもしれない。しかし、ものの特徴を端的に表し、ときには情緒あふれる表現で、話し手の意図を巧みに伝える助数詞は、数える対象を引き立てる“言葉の名脇役”とも言えるだろう。最近では、ついなにを数えるのでも「1個」や「1つ」ですませてしまいがちだが、日常の言葉づかいの中でこの名脇役を積極的に登場させていけたら素敵だ。
貝殻は形に応じた数え方を用いる。平たくて皿のような形なら「1枚」、巻き貝やつぼ型の形なら「1個」、浜辺に打ち寄せられた小さい貝や貝殻のかけらなどは「1片」と数える。一般的に貝類のむき身は「ひと粒」または「1個」。ホタテガイの貝柱も基本的には「1個」、小さいものや乾燥させて小さくなった貝柱は「ひと粒」と数えるが、刺身にするような肉厚で水分の多いものは、「玉」で数える。「ひと玉」とホタテの貝柱を数えると、ぷりぷりした食感まで伝わってきそうだ。
Q3. 里に梅がほころび、菜の花に染まり、やがて桜の咲くころに重なるように魚島の季節が始まります。3月、イカナゴのふるせ(親)がわき、続いてその新子(しらす)が混じり始めるころに、いよいよおおぶく(トラフグ)が顔を見せます。花見の盛りが里から山へと移るころ、真打サワラが登場する、この地方を選びなさい。
[2022年(第13回)1級(上級)から]
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【解答】②岡山県
【解説】岡山の海は瀬戸内海の中央部に位置し、その真ん中で瀬戸大橋が四国へと道をつな
いでいる。東の鳴門海峡、西の豊後水道から入ってくる潮はちょうど瀬戸大橋のあたりで出会い、広い灘ではゆったりと流れ、島が多い瀬戸では複雑な急流となって渦を巻いて流れる。灘では流し刺し網や底びき網、定置網、瀬戸では袋待ち網、刺し網、釣りなど、複雑な地形と潮の流れを利用して変化に富んだいろいろな漁法で、季節ごとに多くの魚種が漁獲されている。また、岡山の海には旭川など大きな川が3本も流れ込み多くの栄養が陸からもたらされ、その恵みを受けて昔から、カキとノリの養殖が盛んで、どちらも全国有数の生産量を誇る。魚島の季節、外海からは産卵のため、またえさを求めて豊後水道を越え、鳴門海峡を通ってさまざまな魚が次々とやってくると、浜がにわかに活気づく。サワラの後は、コウイカやマダイが来遊し、大きなヒラメも現れる。トラフグから始まった大騒動が一段落し、梅雨入りが宣言される頃、魚島のラストランナー、マナガツオの季節を迎える。
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