【ととけん】2023年11月問題
Q1. 東北地方の日本海側で主にとれ、体長15~20㌢、ウロコはなく腹側は銀白色で背に褐色の斑点があります。冬の吹雪などの日に雷鳴にあわせて急に浮上して、海岸近くに群れをなしてやってくるので雷神にちなんで「鰰」とあらわす、秋田県の県魚を選びなさい。[2021年(第12回)3級(初級)から]
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【解答】②ハタハタ
【解説】「魚」に「神」と書いてハタハタ。それは、いつもは全く姿を見せない魚が、正月前に突然、大群で押し寄せてくることから、神様からの恵みの魚であるとした敬意の証しである。ハタハタは海水温が高いと生きられないため、ふだんは沖合の水深200~300㍍の深海に生息している。昼間は海底の砂のなかにもぐり、目だけキョロッと出しているという。砂に守られているためウロコがない。11月になるとメスが「ブリコ」と呼ばれる卵を抱える。ハタハタ漁が本格的に始まる12月になると、産卵のために沿岸の浅瀬に大挙押し寄せてくる。寒冷前線の到来で海が荒れ、海面付近の水温も下がるのと同時に、酸素が豊富な水面近くまで上がってくるのだ。地元では「雷鳴が轟き、海が荒れるとハタハタの大群がやってくる」と言い伝えられている。ハタハタの名は、昔、雷神のことを「ハタタカミ」と呼んだことに由来するといわれる。
Q2. 11月24日はその語呂合わせから、ある水産加工品の記念日です。和食への関心が高まるフランスでも知られるようになっている、日本が誇る伝統のスローフードを選びなさい。[2021年(第12回)2級(中級)から]
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【解答】①かつお節
【解説】1(い)1(い)2(ふ)4(し)の語呂合わせで、11月24日はかつお節の日に制定されている。
11月にはこのほか、15日が七五三にちなみ紅白かまぼこなどで祝う「かまぼこの日」や、栄養豊富な昆布で成長を願う「昆布の日」とされている。言うまでもなく、かつお節はカツオの燻乾品で、主として出汁をとるのに使う。日本固有のもので、古くから盛んに製造された。カツオの頭や内臓をとり、三枚におろしたものを茹でて、いぶし乾燥させたものを「荒節」、これにかびつけをして乾かしたものを「枯れ節」「本枯れ節」という。小さなカツオを二枚におろしてつくったものを「亀節」、大きなカツオを二枚におろし、背と腹に分けたものもあり、背側を「雄節」、腹側を「雌節」という。うまみの主成分はイノシン酸とされている。カツオは春から秋にかけて日本の太平洋岸を北に向かって移動するため、沿岸各地でかつお節がつくられ、それぞれの産地の名称をつけて、薩摩節、日向節、土佐節、紀州節、焼津節、三陸節などという。近年は削って袋詰めにした削り節を一般家庭ではよく用いる。
和食の関心が高まるフランスで、「カツオブシ」が一般の人たちに知られ始めている。日本一のかつお節生産地である、枕崎(鹿児島県)を中心とするかつお節製造業者9社とその事業協同組合による合弁企業「枕崎フランス鰹節」社が、仏北西部のブルターニュ地方でかつお節の生産・販売に取り組んでいる。国内市場の縮小への対応策という理由のほかに、「日本のおいしいだしを世界に広めたい」という思いが原動力になっている。現在、欧州連合(EU)の食品流通規制で日本のかつお節の輸出が困難なため、現地生産に踏み切った。
Q3. 温暖化による海水温の上昇で生息域が北上しているとみられる魚介が増えています。このうち、異なる種が大規模に交雑している実態がわかってきた魚介を選びなさい。[2021年(第12回)1級(初級)から]
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【解答】④フグ
【解説】フグの生息域が北へ拡大し、異なる種のフグが大規模に交雑している実態が明らかになってきた。日本を代表する高級食材であるフグは、日本近海に生息するおよそ40種とされ、その多くが肝臓や卵巣などに猛毒のテトロドトキシンを持つ。種類によって有毒部位が異なるため、厚生労働省はこのうちトラフグなど22種について食品衛生法に基づき、毒を取り除けば食べてもよい部位を定めるとともに、外見で種類を判別できないフグの流通を禁じている。判別できなければ、確実に毒を除去するできない可能性があるからだ。長崎大などは2011~13年にトラフグの漁場である遠州灘や九州西岸の天草灘で採取したフグを調査し、トラフグとマフグ、ゴマフグ、シマフグが交雑していることなどを確かめた。国内最大のフグ取扱量を誇る南風泊市場がある山口県下関市の加工業者によると、しっぽの色やとげの形など、少しでも純血種と特徴が異なれば種類不明とみなして廃棄するという。毎年フグによる食中毒は全国各地で発生するが、雑種フグを原因とする食中毒は「聞いたことがない」といい、フグを扱う以上、「万が一にも間違いがあってはいけない」と強調する。地球温暖化などにともなう海水温上昇などの影響で、フグの交雑が大規模に拡大しているとの指摘もある。
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